白峰村で渓流と温泉を満喫

春の訪れが遅い石川県白峰村。ここは、加賀の白山を源頭とする手取川の辺に位置し、春は渓流、夏は登山、秋は紅葉、冬はスキーと日本の四季を楽しむ事が出来る山里です。

平成十六年 四月四日、五日、私達学生時代からの仲間五名は岩魚を求めて釣行しました。大阪を午前三時に出発し、名神、北陸道を経て福井北インターへ。さらに九頭龍川沿いに勝山まで走り、そこからは一気に標高を上げ、まだ真っ白な雪の世界の白峰村に到着です。

早朝より村の手前を流れる大道谷川で竿を出しました。
国道沿いで漁協の管理もしっかりとしており、放流ヤマメの好ポイントです。気温3度の霧雨の中、色々なポイントを攻めてはみましたが、前日からの雨と雪代の影響で増水しヤマメの顔を見る事は出来ませんでした。

早々に納竿し、本番となる天然岩魚の棲息する谷へ向かいました。手取川に流れ込む、山深い渓谷です。とここが、林道を少し登った所で通行止となっています。除雪はされておらず、積雪は1mを越えています。この状況ではラッセルも必要で、林道から雪の急斜面を降っての入川も危険です。

残念ながら、本流筋で竿を出す事にしました。上流には百万貫と言う巨岩があり、景勝地ともなっています。このあたりにも大岩が点在し、大きな瀬と淵の連続で好ポイントとなっており、見るからに釣れそうです。大型の岩魚やヤマメが潜んでいるのは確かなのでしょうが、なかなか私達のエサに食い付いてくれず厳しい釣りとなりました。地元釣人の話では、ヤマメが大型化した桜鱒も棲息しており、下のダムからも大物が差してくるそうです。ただ一人楽しい釣りが出来たのが支流の合流する大きな淵でした。イクラで一投目よりアタリがあり、尺物を含め岩魚、ヤマメを何匹か釣っていました。

午後からは少し標高を下げ、雪の少ない支流の赤谷川に行ってみました。このあたりの白山、黒部方面では、谷を「だん」と読む事が多い様です。それでこの谷は「あかだん」なのです。チェーンの車止めより一時間ほど歩いての入川となり、思い思いの場所で竿を出しました。しかし、上流に詰めるほど魚影は見られず、良いポイントほどアタリは出ません。雪も少なく釣り荒れている様で、竿抜けを狙った仲間だけが楽しんでいました。

は白峰村、天然温泉宿「つるの」で一夜を過ごしました。雪で凍えた身体を温泉が温めてくれ、都会生活での疲れまでも癒してくれる様です。ここは、漁協組合長のお家でもあり、色々と魚や川のお話を伺う事も出来ます。

翌日の五日は朝から快晴で、村の散策に出てみました。水路を雪解け水が「さらさら」と流れ、とても爽やかな時間となりました。村の外れには本地堂と言うお寺があり、明治初期の排仏き釈で白山から降りてきた仏様がここに安置されています。当時のご住職様が大変な苦労をされ、ここにおまつりされたそうです。

二日目の釣りは、大きく下に降り大日岳を源頭する大日川で竿を出す事にしました。道端の雪は桜並木に代わり、振り返ると真っ白な白山が雄大で最高の風景です。しかしながら、今日も釣りを満喫しようと気分も高まり上流に近づいた所で突然の通行止です。他のルートから回り道をしてもまたの通行止。四月になっても豪雪地帯の国道にはこの様な事がある事を実感させられ、別の釣り場を探す事になりました。

白峰村で渓流と温泉を満喫
白峰村で渓流と温泉を満喫
<空>白峰村で渓流と温泉を満喫
白峰村で渓流と温泉を満喫

お昼過ぎに、やっと直海谷川で竿を出す事が出来ました。手取川に流れ込む、人気のある河川です。セイモアスキー場がある内尾付近は放流も多くフライマンで賑わっていますが、私達はさらに上流を目指しました。しかしながら、快晴の午後からの釣りでは全くアタリもでません。限りなく透明な流れと美しい渓谷を思い出として、本流に戻る事にしました。そうすると予想通りに小型の岩魚とヤマメが顔を見せてくれ、家族へのお土産となりました。そして、太陽も西に傾き私達は帰阪の途につく事になりました。

釣りは、日本の四季を楽しむ事が出来る最適な趣味ではないでしょうか。そして自然や魚の命の大切さを私達に教えてくれ、心豊かになる思いがします。この素晴らしさを未来の子供たちに残す為にも、マナーやキャッチ&リリースについてもしっかりと考えてみたいと思います。

フィッシングエイト 中井

白峰村で渓流と温泉を満喫

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